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HRが終わり、美雪は気持ちが沈んだまま一時間目の準備する。
三年生になり、頭がグチャグチャになる。
夢や恋愛や、悩み事はますます増える一方だ。
美雪はクラスを見回した。
休み時間だというのに、騒いでる生徒は数人しかいない。
しかも、去年までは一緒に騒いでた奴も、その生徒を迷惑そうに見ていた。
前の席にいる亜由美だってそうだ。
暇さえあれば、参考書を開いて勉強している。
美雪一人が取り残されたような感覚に陥る。
亜由美からも、そして先生からも離れて行ってしまう。
チャイムが鳴り、美雪は我に返った。
教室に入ってきた教師に、美雪は驚いた。
今朝、先生と歩いていた女教師だったからだ。
教壇に立つ彼女は、背が低く何とか顔だけ出ていた。
男子生徒達は可愛いその教師に、冷やかしたりと盛り上がっていた。
「…えと、今年度からこの高校に配属しました。大村千代子です。担当は数学です。よろしくね」
美雪は更に驚いた。
今朝、先生と仲良そうに歩いてたのも、先生がおかしなメールを送ってきた理由も一つに繋がった。
この大村千代子は、先生が大学の時に本気に好きになった元カノだ。
ええぇっ!?
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