ヲタ的☆独りの週末

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雨の中、傘を差して歩く。 雨足が強くなり、服が少し濡れてしまった。 こんな事までしても、美雪は先生に逢いたくなった。 一目でいい。顔を見るだけならいいだろうと、自分に言い聞かせた。 駅から、いつも通りに本屋へ向かう。 だんだん、本屋が見えてきて胸が苦しくなってきた。 そっと近づき、壁にくっつきながら中を伺う。 丁度、レジに座っている先生が見えた。 くわえ煙草をしながら、ノートパソコンで何やら打っている。 仕事をしている先生も格好いいなぁ… なんて、うっとりしていると美雪は一瞬で奈落の崖から落とされてしまう。 「ねぇ。由樹!久しぶりに来たけど、相変わらずレアな本ばっかりだね~」 ガラスで影になっている方から、女の声が聞こえ美雪の体がビクッとなった。 先生は美雪には全く気づかず、その声の持ち主に向かって話している。 「そうか?…っていつまで、いるんだ?千代子」 持っていた傘がバサッと道端に落ちた。 雨で傘はたちまち、びしょ濡れになっていく。 それよりも、そんな事よりもどうでもよくなった。 今、先生は大村千代子。つまり元カノと一緒にいる事実に、耳を塞ぎたくなった。目を覆いたくなった。 昔の名残だろうか。 名前で呼び合っている姿を、目の当たりにする。 二人は、仲が戻ったのだろうか? 先生には、もう私なんていらなくなったのだろうか…? 道端で落ちている傘を美雪は眺めていた。 「………」 .
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