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その頃。
千代子は一人、部屋の片隅に座っていた。
テーブルの上には、日本酒が置いてあり一人でチビチビと舐めるように呑んでいた。
嫌な事がある時や、寂しい時はこうして酒の力を借りる事が多い。
ドアがスッと開いた。
「…ママ~…」
そこには、まだ幼い小さな子供が立っていた。
「…ん?起きちゃったの?怖い夢でも見た?」
千代子は立ち上がり、子供を抱きかかえた。
「………」
必死にしがみついてくる、小さな手を千代子は見つめた。
「…さぁ、寝ましょう。起きたら、パパが帰って来るわよ」
パタンとドアが閉まった。
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