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それから、美雪は極力学校では由樹を避け、勉強に勤しんだ。
ヲタはしばらく封印したのだ、暇な時間は勉強する事に決めた。
…この、卓球の王子様(略してタクプリ)の下敷きがあるから頑張れるっ!!
もちろん、学校と家で使う物は分けてある。
(……くぅ~!王子!高校を卒業した暁には、貴方の完全版の本をゲットしていいですかっ!?)
漫画とは別に、本が先週発売して買いたい気持ちを我慢していた。
部屋に貼ってある王子のポスターを見ると、美雪はまた机にかじりついた。
(…夏休みはもうすぐっ!!)
◇◇◇
その頃、由樹は。
期末テストの準備に追われていた。
薄暗い職員室で、机の電灯一つ付け作業していた。
「…あ゙~…くそっ…煙草吸いてえ…」
なかなか進まない苛立ちに、由樹は椅子から立ち上がった。
他には誰もいない。
窓を開けて吸えば、朝には匂いは消えるだろうと、キョロキョロと辺りを見回した。
煙草の箱とシルバーのライターを取り出し、窓際まで移動した。
煙草を一本くわえ、火を付けようとライターを近づけた。
月明かりでシルバーのライターがキラリと光る。
火を付けるのも忘れて、由樹はしばらくライターを眺めた。
美雪から貰った大事なライターだからだ。
すると…
ガラッと職員室の戸が開き、由樹は慌てて背中に煙草とライターを隠した。
「……由樹?」
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