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誰か、嘘だと言ってほしい。
美雪は、教室に入るなり机にうつ伏せた。
今日は朝から、落ち込む事ばかりだ。
新学期早々、こんな嫌な日なんてヘコむ。
「何がそんなに嫌なの?嬉しいでしょ~?惚気なさい」
亜由美がうつ伏せになっている美雪をつついた。
「……嬉しくないよ」
予想外の美雪の返答に、亜由美が驚く。
「何で~!?」
「だって!!」美雪が勢いよく起き上がり、自分の声の大きさにびっくりした。
「……だって、前ほど学校では他人のフリを徹底しなぎゃならないでしょ?」
声を潜めて、亜由美の耳元で囁いた。
「…そお?担任だから、相談にのってもらうって感じで一緒に居れるじゃん☆」
「………」
相談にのってもらう程、進路に困っていないから美雪は言葉を失う。
困ってはいるが、自分の夢が何なのかわからないって言ったら、先生は怒ってくるに違いない。
「……無理だよ~ι」
◇◇
「…なぁ、堤って最近可愛くねぇ?」
教室の入り口で、男子生徒二人が話している。
「マジで!?俺も最近思ってたっ!!」
そんな盛り上がっている生徒を遠目で藤村が見ていた。
いつもの仮面をすぐさま付けると、教室の中に入っていく。
「……はい。HR始めます」
その藤村の言葉に、生徒達が席に着いた。
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