~第4章~決意に込められた想い

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静かになった病室で、戒は支度を済ませていた。 病院側から退院を言い渡されたのが、来週だったが早く出て行きたい。   「済んだのか?」 「うん」   迎えに来てくれた綾に笑顔で答え、ボストンバックを持つ。   「ちょっと話しないか?」 「良いけど……」   病室を出ようとした戒を制止し、綾は戒の目の前に立った。   「俺の事、軽蔑するか?」 「…………しないよ」   綾の言いたい事が大ざっぱすぎて的を得ないが、戒には大体予想出来る。 幻死団として動いていた事、自分の父親が元凶だという事。それが全てだろう。   「俺は…………」 「何?」   俯いた綾は、髪に隠れて表情が見えない。 何かを探るように言葉を選んでいる。   「………好きだ」 「………何が?」   ゆっくり顔を上げ、水色と紫のオッドアイが戒を捕らえた。 そして、蒼と碧のオッドアイが綾を捕らえる。   お互いに見つめ合い、柔らかな日差しが二人を包み込んだ。   「お前に誓う」 「……………」 「俺の全てを賭けてお前を守ると……」 「俺はそんな弱い?」   全てを投げ出してまで守ると綾は言い、戒は嬉しくも何ともない。 自分を守る存在は要らない、自分が守る存在は必要。   全ては自分の為に、動く原動力として望んできた。  
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