150人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
あの悪夢を見た後は絶対と言っていい程、左腕の蝶が疼く。
記憶にないような幼き頃から、既に戒の左腕には蝶の入れ墨が彫られていた。
「戒、遅刻する気か?」
「今行く!」
会社に行く為、身支度を開始。
汗でベタベタする体を洗い流し、綾の作った朝食を食べる。
「美味い♪」
「当たり前だろ?俺が作ったんだから」
2人で歯を磨きや支度を済ませ、家を出る。
玄関に鍵をかけようとした瞬間……
「綾、ごめん!忘れモノッ!!」
そう言って戒は家の中へと戻る。
「たくッ……」
戒がそそっかしいのは何時もの事なので、綾はタバコを吹かしながら待つ事にした。
「あった!ごめんな……」
忘れてしまった事に謝り、戒はソレを手に玄関へ。
「ごめんごめん!」
「早く行くぞ」
家に鍵をかけ、2人は会社へと向かう。
思ったよりも時間がかかり、会社まで走る羽目に。
「遅刻したらお前のせいだからな!」
「悪かったよ……」
コレも何時もの事。
戒の起きるのが遅く、2人は会社に着くのは遅刻ギリギリ。
「課長に小言、言われるのは俺なんだぞ?」
「だから、ごめんってば!」
2人は、遅刻したら……と考えると恐ろしくて、顔が引きつり冷や汗が後を絶たない。
最初のコメントを投稿しよう!