~第1章~悪夢に蝕まれる日常

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朝日がキラキラと朝露に濡れる木々を照らす…… 訳もなく、2人は暗い海に浮かぶ白い海月を追うように、走り続ける。   「寒いな~」 「ズベコベ言わずに走れ!」 「ケチッ!」   早朝と呼ぶには、まだ早い時間帯。 戒は寒いなら……と手に息を吹きかけながら走った。   「そんな事してると舌噛むぞ!?」 「へーき、へーぎでッ!」 「言ってるそばから……」   ガキンッと音が聞こえそうなくらい、綾の言葉通り舌を噛んで涙目の戒に、やっぱりな……と綾は視線を投げかける。   「む~~~、あッ!」   ふてくされていた戒が何かを思いついたらしく、笑みを零す。   「こへなら温かひ」   綾の右手が何かに掴まれた。何かなんて分かりきっている。   「お前なぁ?一言言ってからやれよ……」 「言っへかららほ、やっへふんないひゃん!」 「何言ってんのか分かんねーよ!!」   戒は綾の手を握っていた。 平然と握る戒に呆れつつ、綾は振り払うことはしない。   「遅刻するぞ!」 「早ふッ!」   手のひらから、お互いの体温と鼓動を感じる。 体温は戒の方が高く、鼓動は綾の方が早い。   「温へ~~」 「分かったから、それ以上何も言うなッ!!」   耳がほんのり赤くなっている綾は、寒さで赤い訳ではないようだ。      
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