~第1章~悪夢に蝕まれる日常

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2人は手を繋いだまま、会社まで走った。 着く頃には走ったせいで体温も程良く温まり、目の前の建物を見上げる。   「ギリギリって感じ?」 「あぁ、何時見ても不気味だ…」   闇に浮かぶ廃墟と言えるだろうか。寂れたビルの2階に会社はあった。 今にも崩れ落ちそうな階段を駆け上がり、2人は入り口のドアを開ける。   「「おはようございます!」」   ドアを開けるのと同時に朝の挨拶。 ソコには、何時もと変わらぬ光景が目に飛び込んでくる。 そう、万年筆が目の前に……   「あッ!危ッ…」   有名映画のワンシーンのように、戒はソレを背中を反って回避。 そしてソレを綾がキャッチするという、コンビネーションプレイが今日も冴える。   「綾!毎回々取るなら、俺が避ける前に取ってくれよッ!!」 「生憎、お前みたいな動物的反射神経は持ち合わせてない!」 「毎回々パターンだろ!?課長が…課長…が……?」   無言の威圧を感じてしまい、言い争いもそこそこに2人は恐る恐る部屋の中央奥に位置する、課長のデスクに視線を向けた。   「「おっおはようございます!!」」 「おはようございます。朝から元気ですね……」 ((怒ってる!!))   穏やかな笑顔で返事を返しているが、その人物を知る者には感情を隠している事に気付くであろう。      
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