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2人は手を繋いだまま、会社まで走った。
着く頃には走ったせいで体温も程良く温まり、目の前の建物を見上げる。
「ギリギリって感じ?」
「あぁ、何時見ても不気味だ…」
闇に浮かぶ廃墟と言えるだろうか。寂れたビルの2階に会社はあった。
今にも崩れ落ちそうな階段を駆け上がり、2人は入り口のドアを開ける。
「「おはようございます!」」
ドアを開けるのと同時に朝の挨拶。
ソコには、何時もと変わらぬ光景が目に飛び込んでくる。
そう、万年筆が目の前に……
「あッ!危ッ…」
有名映画のワンシーンのように、戒はソレを背中を反って回避。
そしてソレを綾がキャッチするという、コンビネーションプレイが今日も冴える。
「綾!毎回々取るなら、俺が避ける前に取ってくれよッ!!」
「生憎、お前みたいな動物的反射神経は持ち合わせてない!」
「毎回々パターンだろ!?課長が…課長…が……?」
無言の威圧を感じてしまい、言い争いもそこそこに2人は恐る恐る部屋の中央奥に位置する、課長のデスクに視線を向けた。
「「おっおはようございます!!」」
「おはようございます。朝から元気ですね……」
((怒ってる!!))
穏やかな笑顔で返事を返しているが、その人物を知る者には感情を隠している事に気付くであろう。
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