~第1章~悪夢に蝕まれる日常

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普段から笑みを絶やさない野崎 恵(ノザキ ケイ)は、ここの社長的存在。課長と呼ぶのは、只の愛称。   「遅刻……ですか?」 「いいえ、ギリギリです」   時計を確認しながら遅刻を免れた事に一安心。戒は綾から万年筆を受け取り、恵に返す。   「依頼が何件か有りますが、どうします?」 「内容は?」   此処の会社はメインは探偵業。しかし、それだけではやっていけないので、何でもこなす万屋として活動中。   「猫探しが2件。浮気調査が4件。それと……」 「「それと?」」   綾の問いに恵の秘書とも言える水野 皐月(ミズノ サツキ)が答え、言葉を濁した。   「洗濯機の修理が1件です」   ズルッと皐月の言葉に転けそうになるのを、2人は何とか耐える。   「電気屋じゃないんだけど……」 「戒、どれやる?」   唸りながら考え込む戒を後目に、綾は自分のデスクへ腰を下ろす。 すると其処へ……   「戒きゅ~~~んッ!!」 「えッ!?」   背後からの襲撃に耐えきれず、バランスを崩した。   「どわぁああぁ!?」   そして修復出来ないまま前方に倒れ込む。   語尾にハートを撒き散らし、戒にタックルをかます1人の女性が…… 不意打ちなのか計算なのか分からぬまま、馬乗り状態。   「痛たたた……麻奈さん、大丈夫ですか?」   自分の事より他人の事を心配するのは、戒らしいと言える。      
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