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「・・・んん。レオいないなら泊まるとこないし、また来・・・」
「ほぉ? お前の用事はレオニールにしかないのか」
また来るよ、と。そう続くはずだった言葉は、不意に割って入った声によってかき消された。
「城主に挨拶もしないとは、随分な客だな?」
セファイドが顔を上げれば、目の前にはアキレスの姿。腕を組んでいる彼から、何故か威圧感を感じる。先ほどまでは親しげに離してくれていた門兵が、急に距離をとってしまったくらいには。
「・・・・・・あ~、ご無沙汰してま・・・す?」
何故アキレスが怒っているのかわからないが、台詞からとりあえず挨拶をしてみたのだが。
「ご無沙汰しすぎだ。前に顔を見せたのはいつだと思っている」
怒りが収まる様子もなくそう言われ、セファイドはきょとんと目を丸くし、
「えっと・・・2・3ヶ月くらい前?」
その返答に。アキレスの怒りが噴出した。
「半年だ、この馬鹿者!! 顔を見せないどころか便りの一つもよこさないとは、どういう了見だ!!!」
曲がりなりにも一国の王であるアキレスが怒ると、迫力が違う。あまりの怖さにセファイドは思わず後退っていた。
「や、でも、ほら、忙しい国王陛下の時間を、くだらないことに使うわけには・・・」
「俺自身が許可しているのだから、お前は大人しく命令に従えばよい!!」
「・・・いや、そういう訳にもいかないだろ。ってか、俺、一応ルスラン国籍だけど、城に勤めてるわけじゃないし・・・」
「ルスランのものは国王たる俺のもの。すなわち、お前は俺のものだ!!」
「・・・・・・一理あるかもしれないけど、認めないぞ、こら。俺は俺のもの。んで、自由を愛する俺は自由気侭に気の向くままに、誰にも束縛されずに生きるんだ!!」
お互いにお互いを睨みつけながら、一歩も譲る様子はない。門兵たちははらはらしながら、事の成り行きを見守るしかなかった。
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