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「束縛などではない! 息災かどうかだけでも知らせろと言っているんだ!」
「便りがないのは元気な証拠! それくらい察しろ!!」
「便りも出せないほど、危ない状況にいるかもしれないだろう!!」
「俺がそう簡単にそんな目に合うか! どんだけ旅してると思ってるんだ!!」
「今は誰がどうなるかわからない情勢だぞ! 旅しているくせに、不安定な情勢もわからないのか!!?」
「だから、心配ないっていって・・・」
・・・・・・・・・しばし、間。
「・・・・・・あれ、もしかして、お前心配してくれてたのか?」
自分が口走ったことに、違和感を感じ、感じた違和感をそのまま口にしてみれば・・・
「・・・っっ!!!」
珍しくも顔を真っ赤にしたアキレスを見ることが出来た。
「・・・ぅわ・・・」
それが伝染したのだろうか。何故かセファイドまで顔が真っ赤に染まり、上気した顔を隠すように手で覆った。
嬉しい。単純に、嬉しかった。アキレスは一国の王で、多忙な身だ。まさか一般人に過ぎない自分の身を案じてくれているとは、思わなかった。
「あ・・・ありがと」
嬉しさを隠せずにへにゃりと笑いながら言えば、アキレスも赤い顔のまま頷いてくれる。それがまた嬉しくて、セファイドはふにゃふにゃと気の抜けた笑みを浮かべている。
そんな一見、よくわからない状況になりつつある二人の間に、またも違う人物が割って入った。
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