うわさの私

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「……帰りは、気をつけるように。 あと、クラス委員の山崎かなと副の山崎浩、今日は生徒会との集まりの日だからなぁ。」 「はっはい。」 担任の声に、はっとして慌てて返事をする。 私はクラス委員長で副委員長も同じ山崎だから二人ともいつもフルネームで呼ばれてる。 ぼーと考えていたら、いつの間にか、帰りのホームルームが終わっていたらしい。 「かな~。」 みんな帰り支度をしているざわつくなか、親友の栗原 杏が声をかけてきた。 「ごめん杏、聞いた通り、今日はこれから生徒会との集まりなんだ。 今日は一緒に帰れないから、先に帰って。」 私は、ごめんと顔の前に手を合わせる。 「クラス委員長だもんねー、かなは。 忙しいよね。 じゃ、終わるまで、宿題やりながら図書室で待ってるから、終わったら寄ってよ。一緒に帰ろう。」 杏は、綺麗なふたえの目をキラキラさせる。 「それでさぁ、帰りかなんちに行っていい?」 目的は家か。 モデルみたいに背が高くスレンダーで綺麗な杏は、なぜかうちの1番上の兄、山崎 太郎に片思い中だ。 「いいけど、たー兄締切前で部屋こもってるから、家きても会えないかもよ。」 たー兄は、一部に人気の小説家だ。 そう一部。 女の子×女の子の話を書いて一部人たちに人気。 乙女がわんさか出てきて、『お姉様』のいる世界。 兄ながら、よくわからない世界である。 妹の私には、まったく理解できない世界だ。 そして、一部が目の前にいる。 「太郎さん、また新しい話を書き上げるのね。 すばらしいわ。 あの思春期の同性に対する淡い思い。 あれは太郎さんでなくては書けないわ。 締切前ですもの、じゃまなんてしないわ。 ただ同じ家で同じ空気を吸いたいだけなの。」 杏は大ファン。 親友ながら、その趣味は理解出来ない。 「じゃ、終わったら、図書室寄るね。」 私は、杏に手を振り、副委員長の山崎 浩くんと会議室へ急ぐ。
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