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「多分、Cクラスだと思うけど。」
「勘弁してくれ。お前がCクラスなら俺やクラスの男子はFとDに振り分けられちまう。」
謙遜するなと言わんばかりに、吉川が肩をすくめた。
直井の真面目っぷりはクラスでも一目置かれている。
"真面目だと思う生徒は?"と質問すれば、おそらくクラスの誰に聞いても直井 明の名をあげる事だろう。
クラスで一番強力な召喚獣の候補は間違いなく直井だ。
「でさ、話戻すけどお前の召喚石はどんな感じなんだ?」
「どんなって……こんな感じ。」
そう言いながら、直井は召喚石を吉川が腰掛ける机に置いた。
コツンと軽い音がする。
5センチ程度の小さな石だ。
小石を模したそれは角は無いものの少し歪だった。
吉川は軽い動きで召喚石を持ち上げると、中を透かすかのように教室の蛍光灯へ向かって掲げた。
「へぇ……綺麗な色してるな。」
直井の召喚石は、白をベースにほのかに紫が混ざっている。
「弦の召喚石もこんな感じ?」
「色は違うけどな。俺のはほら、少しだけ赤いんだ。」
吉川はブレザーの胸ポケットに召喚石を入れていた。
取り出された石は確かに薄紅色だ。
「こん中に俺達の召喚獣が入ってんだよな。早く1限目始まらねえかな………」
「うん。待ち遠しいよね。」
二年生まで新学期初日は始業式だけだったのだが、三年生は始業式の後に召喚石の配布を行い、十分の休憩を挟んで一時間だけ授業がある。
教科は召喚学。
そこで直井達は自分の召喚獣との対面式だ。
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