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女教師あらため中里が名前だけと言う、まこと素晴らしい自己の紹介を終えると、まるで打ち合わせたかのようにチャイムが鳴った。
授業開始だ。
それはクラス中が十分承知している事だが、中里は掛け声一つ入れた。
「さぁ、授業始めましょうか。」
いよいよだと、直井は背筋を伸ばす。
「先ずは今日の内容だけど、召喚石について大まかな説明など、簡単に私の話を聞いてもらった後、体育館に移動してもらいます。皆がこんな場所で召喚獣を喚んだら窮屈だからね。」
「響ちゃん、質問があります!」
「何かな、えっと……吉沢君。」
「吉川です。」
「吉皮君。」
「その眼鏡を叩き割ってやりたいんですが良いですか?」
「それが質問?そんな事されたら私が困るから我慢してね。あと、最初に喧嘩売って来たのは君だから。」
「だってちゃん付け似合うじゃん。」
「フレンドリーに接してくれるのは嬉しいけど、あんまりふざけが過ぎると召喚獣が弱くなるわよ?」
「えぇ!?こんな事で!?」
「召喚獣の強さは持ち主の一挙手一投足が深く関わってるのよ。小さな悪ふざけも回数が多ければ致命的ね。それが嫌なら真面目な態度を心掛けるべし。良いわね?」
「…………はい。」
「素直でよろしい。それで吉田君、質問は?」
「………吉川です。」
「吉河君。」
「あんた絶対召喚獣弱いだろ!!そして絶対根に持つタイプだろ!!」
男、吉川 弦が雄々しく吼えた。
いやまぁ、そこまでかっこいい叫びではないのだが。
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