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   召喚石。 それは、現存する科学の集大成と言っても過言ではない。 見た目は綺麗な小石だが、中身は余すところなく最先端技術が詰め込まれている。 所持者のデータを逐一採集し、全世界共通にして最大規模のコンピューターに登録する事が召喚石のもっとも重要な役割でもある。 この召喚石が、現在の身分証明だ。 持たない者は身心共に未発達とみなされ、ようは"子供扱いされる"。 そして、次に重要なのが所持者の"自己防衛手段"としての役割である。 これは理不尽な状況下に置かれた時、少しでも生存率を高める為だ。 召喚石には、"所持者の情報を元に相応しい獣が登録される" 数は一体。 千差万別の姿を持つ獣は、人間よりも遥かに高性能な災害用救済システム。 ちなみに。 その災害用救済システムにはもう一つの使い方がある。 "武力"だ。 五年前、召喚石が配布されるとあらゆる兵器と武器は廃棄となった。 災害用救済システムは、その代わりの役割も持っているのだ。 人間よりも高性能である科学の生み出した幻想は、当時に既存したどんな兵器よりも有能だった。 だから、召喚石が配布されると銃やミサイルなどの実用性は地を這うことになったのである。 それほど強力なシステムだ。 当然ながら悪用を思いつく輩が出てくるのだが、そんな輩が起こす事件の被害者の数は全世界の人々へ"身分証明"として召喚石を配布することで実現可能な最小限数を保っている。 なにしろ、未成年を除けば召喚石は誰しも必ず持っているのだ。 殺人、強盗、テロ、それらに対して誰もが対抗手段を持っていりのだから当然とも言えた。 更にはこの災害用救済システムにはランクが存在する。 Gクラスを最弱に、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSクラスの10段階あり、このランクは保持者の一挙手一投足を元に相応しいランクに振り分けられる。 日常の素行が召喚石からデータを管理するコンピューターに転送され、それを機械が検証する。 悪事と呼ばれる行為を行う人間に上位クラスの召喚獣は絶対に割り当てられないシステムだ。
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