~002~

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「お父さんとお母さんも一緒だったら良かったのにね。」 「しょうがないよ、仕事だし。姉さんが買い物に行くなら、僕も召喚石の加工してこようかな。」 「良いんじゃない?早いうちに加工しておいた方が何かと楽だし」 と、夏姫は苦笑しながらアクアを見る。 「ほらアクア、行きましょう。いつまでも明の後ろに隠れてないで……あぁもう……ゴスロリは冗談だってば」 『本当に?』と目で尋ねるように、アクアが直井の肩越しに顔をだす。 普段はクールな彼女だが、この姉の前ではこんなものだ。 「………よし。今日はアクアの食べたいものを一品追加してあげる。」 「………!」 召喚獣は食事も出来る。 養分になることはないので完全に意味がない行為だ。 だがまぁ、それでも食事を与える人間は意外と多い。 これはもう理屈云々ではなく感情的なものが多く含まれた結果だ。 それに召喚獣とて味覚はある。 美味しいものは美味しいし、アクアは直井と夏姫の料理を好んでいる。 目の色が変わるのを、夏姫は見逃さなかった。 「だからほら、早く行こう?」 アクアが直井の元から離れた。 交渉は無事成功したらしい。 彼女が夏姫の後ろに控える様に立つと、直井は改めて思う。 やはり、アクアは夏姫の召喚獣なのだ。 他の誰よりも、夏姫の傍が良く似合う。 少し羨ましくなった。 同じく召喚獣を手に入れた今、僅かだが姉を尊敬してしまう。 自分も。 自分も、誰かが見た時に、そう感じてもらえたら、これほど嬉しい事はない。
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