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つまり、何が言いたいかというと、
「…………はあ。」
直井は疲れきっていた。
家でも学校でも心休まる空間がトイレの個室しかないのだから、当然か。
この数日でめっきり老け込んでしまった彼の背中にはどこか、夢見る事を忘れた中年サラリーマンのような雰囲気があった。
「…………」
それを心配そうに見守りながら少女が後ろを付いてくる。
羽があり、三角頭の尻尾を生やした少女だ。
ふわりと浮かびながら付いてくるこの少女の名前は……まぁ今さら説明がいるとは思えないがリリィである。
三日前まで、一人で街中を歩けば警察に補導されかねないような、露出の高い水着のような……あぁもう水着でいいや。
水着を着ていたのだが、今の彼女は幾分かマシになっていた。
具体的には直井の通う高校の女子用制服を着ていた。
何故に?と思われた方。
ごもっともです。
勿論この制服は直井の所有物では無く、姉のお下がりだ。
三日前、姉はリリィの洋服をきちんと買ってきた。
それは直井も感心してしまうほどにリリィにぴったりの服だったのだが、残念な事にリリィの衣類はその時点でデフォルトの水着を加えて二着しかなく、現在、三日目だ。
つまり、服がたりない。
同じ服ばかり着せるのは忍びないし、かといって水着でぶらつかせる訳にもいかず、さあどうしたものかと考えていた所に『じゃあ学校に行くときは制服でも着せたら?』と夏姫が譲ってくれたのが、今現在リリィが着ている制服なのだ。
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