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先輩が手を合わせて詠唱を始める。
女性が凄まじい悲鳴をあげ、安藤くんの体を突き飛ばした。
安藤くんは壁に打ち付けられて小さく呻く。
「安藤くん!」
私は大きく叫ぶと安藤くんに駆け寄り体を揺する。
「う、…ん」
安藤くんが小さく声をあげたのを確認して私はほっと胸を撫で下ろした。
女性は頭を抱えながらもがき苦しむ。
それを全く気にすることもなく、先輩は合わせていた手をすっと離す。
ぱあんと打ち合わされる両手。
柏手の音が響いた瞬間。
女性の姿がふぅっとかき消えた。
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