番外編「蓮」

13/39
前へ
/229ページ
次へ
自動販売機で、ジュースを買っていた僕は、ふとなにかの視線を感じた。 どこからだろう。 僕はキョロキョロとあたりを見回してみる。 再び自動販売機の方に視線を向けかけた僕は、ぴたりとその動きをとめた。 自動販売機の影に見える小さな手。 年は二歳か三歳くらいだろうか? ピンクのフリルワンピースを着た女の子が、顔だけを出してこちらの手元を見つめていた。 僕の手の中には買ったばかりのジュース。 「欲しいの?」 そう聞くと女の子は僕を見つめたまま「うん」と言う。 僕はしばらく考えたあと、自動販売機に小銭を投入してボタンを押す。 出てきたオレンジジュースを取ると、僕は女の子に差し出した。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6580人が本棚に入れています
本棚に追加