始まり

6/8
5280人が本棚に入れています
本棚に追加
/487ページ
ベッドで眠ったおかげでスッキリした シャワーを浴びて部屋を出ると冴がソファーに座り溜め息をついてぼんやり煙草をふかしていた 「眠れなかったの?」 「いや、少しは寝たよ」 「そう」 「夢に湊が出て来て目が覚めた……なんだろな…いつも隣にいる湊がいないベッドはすごく広く感じてしまうんだなと初めて感じた」 「うん、それはよくわかるよ」 「そっか、楓もツアーの時はいつも一人だしな」 「やっぱりベッドの中では二人で寄り添って眠りたいよね」 「だよな」 前回のツアーには和海も同行したから寂しくなかったけど、いつもはすごく寂しかった みんなと居る時は大丈夫だけど、ホテルの部屋に戻ると堪らなく寂しくなって泣きそうになる 冷たいベッドで一人で眠るのはやっぱり辛い だから冴の気持ちもよくわかるんだ 「本当に湊に会えるのかな」 「大丈夫!きっと会えるよ」 「だよな」 「うん」 沈黙が辛くてわかりもしないテレビをつけた 「湊!」 「えっ?」 「クソッ、なんて言ってるんだ?」 「よくわからないけど……あっ、通訳の人」 急いで通訳を部屋に呼んで解説してもらった 「どうやら婚約の話みたいですね……」 「婚約?誰のだよ」 「湊さん……と言う方が会社を継ぐ前に結婚すると言うような内容です」 「そんな馬鹿な……結婚?ふざけんなよっ!」 冴が拳でテーブルを思い切り殴り付けた 「冴、落ち着いて」 「もうよろしいでしょうか」 「ありがとう」 ニュースも違う内容に変わっていた 「何なんだよ……」 「ちょっと、今の音何?」 葵と華が慌てて部屋から出て来た 「冴、血が」 「何でだよ……何なんだよ……」 「何かあったのか?」 「今、テレビで湊の婚約会見をやってた」 「はい?アメリカではいちいち婚約する度にテレビで?」 「葵、違うよ……テレビで会見する程大きな会社の息子だからだよ」 「成る程……てか、婚約??」 やはり二人も驚いていた 暴れ出しそうな冴を押さえ付け、何とか落ち着かせた 和海、早く来て…… そうじゃないと冴が壊れてしまうよ
/487ページ

最初のコメントを投稿しよう!