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「てか、お前額……」
「ああ、ちょっとね」
「ちょっとって……まさか牛と喧嘩?」
「葵……」
「何だよ」
「馬鹿?」
「あのさ……冗談ぐらい通じろ」
「いや、俺のギターケースがあたって」
「俺がぼーっと廊下を歩いてたから」
「それは何となくわかる」
なんかムカつく……
「そしたらプリンの匂いがして」
「お前の鼻はどうなってるんだ」
「ところで体育館でライヴを?」
あっ、また忘れてた
「うん」
「マネージャーの話だとドームではライヴをしないとか」
「しないね」
「どうして?」
「客席が遠いから」
「えっ……」
葵の隙を見てプリンを手に取りまた食べはじめた
「あっ、またお前は」
「DAHLIAってさっきちょっと調べてみたけどすごい人気バンドなのに」
「俺達は俺達を求めてる人達が居る場所ならどこでもいいんだ」
「そう言えば、クラリスもライヴを?」
「昼間に仕事があってその後メンバーは東京へ戻ったけど俺が温泉に入りたいとマネージャーに頼んでここに」
「そうなんだ……温泉が好きなんだね」
「うん、日本の温泉に入りたくて」
「へぇ」
あっ……プリンが無くなった
「お前、いくつ食べたんだ」
「もっと食べたかった」
「えっ……まだあるけど……夜にまた」
「うん」
「楓、ちょっといいか?」
今度は冴だ
「うん」
「アンプなんだけど、まだ届いていないらしい……って彼は?」
「クラリスの新しいギタリスト」
「ああ、海外から来た」
冴も知ってるんだ
「もしかして有名人?」
「楓……かなり有名なギタリストだ」
「そうなんだ……聴きたいな」
「馬鹿、彼が聴かせてくれる訳ないだろ」
「いや、いいよ」
「えっ……」
「じゃ、また後でギターを持って来るから」
「うん、プリンもね」
「ははっ…了解」
そう言って部屋から出て行った
またプリンが食べられる
「嬉しい……」
「楓?まさか浮気……」
「またプリンが食べられる」
「葵、楓はプリンしか興味ないみたいだ」
「だな」
そう言えば何の話だっけ?
すっかり忘れてたみたい
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