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「……ダニエル、いつもリストバンドか包帯で支えておけと言っただろう」
腰に手を当て、店長は呆れた顔で言った。
昼過ぎなのに客のいない静かな店内にはダニエルと店長の二人だけだった。
他の店員は厨房で何やら新作料理の創作のために閉じこもっている。
「それがリストバンドごと落ちちゃってー。すみません、店長ー」
また落としてしまった手を拾い、爽やかな笑顔でダニエルはあははと笑う。
「……今度からはリストバンドを何枚も重ねておけ。それでも駄目だったら包帯ぐるぐる巻きの刑だからな」
店内に誰もいないため、その刑の名前は何ですかというツッコミはなく、ダニエルも清々しい笑顔で大きく頷いた。
「そういえば、お前が入ってもう三ヶ月か……」
カウンターの奥にあるカレンダーに目をやり、店長は呟いた。
「そうですね! 気が付けばそんなに経つんですよね~! あの時、店長に拾ってもらえなかったら、俺、どーなってたんでしょうねー」
あはは~と笑い飛ばし、ダニエルは丁寧にテーブルを拭きながら答える。
全く深刻そうな声ではなく、むしろ明るく答えるダニエルに店長は苦笑した。
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