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「ぶっちゃけて聞くが、俺の経営する飲食店で働いてみないか? 俺がそこの店長もやってるんだけどさ」
店長の言葉に、ダニエルは驚いたように顔を向けた。
「ほ、本当ですかっっ!!」
「ああ。どうだ? 働いてみるか?」
「はいっ! 是非、働かさせて下さいっ!」
大きく頷いて、ダニエルは素早くベンチから立ち上がって頭を店長に向かって下げた。
その言葉を聞いた店長は口元にニヤリと笑みを浮かべた。
「よし、決まったな。じゃあ、早速行こうか」
すっくとベンチから立ち上がり、店長はダニエルの肩に手を置いた。
「え? ど、どちらに?」
「もちろん、俺の店にじゃないか」
キラキラと輝く笑顔で店長は答え、ダニエルの手を掴んだ。
その時だった。
ぼとっ
「「あ」」
二人同時に声を出し、呆然と間に落ちた手を凝視した。
「すみませ~ん、就職が決まったことに嬉しくて気を抜いたら、手が落ちちゃいましたー」
あはは~と笑うダニエルに、店長は苦笑しながら地面に落ちた彼の手を拾い、渡した。
「その特技面白いな~。お前、ウェイター決定だな」
「え? もう決定ですか?! それにこの手、恐くないんですか?!」
自分の手を受け取り、ダニエルは平然としている店長に驚き、目を何度も瞬かせた。
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