6297人が本棚に入れています
本棚に追加
午後3時を回った頃だろうか。傘を刺した人々が街の大通りを道行く中、1人、異様な姿の男が歩いていた。
男は雨の中傘を刺さず、顔にはサングラスを付け、黒いスーツにスニーカーと一風変わった姿をしていた。悪く言えば笑ってしまえるぐらいおかしな格好だ。しかし道行く人々は誰ひとりとして男を笑おうとはしなかった。
なぜなら男があまりにも不気味だったからだ。
なぜか男はその口元に笑みを浮かべていた。
その様子はまさに「ペルソナ」という言葉が不気味な程似合う笑みであった。
「ククク…」
突如、男が声を出して笑いだす。男が笑う姿はその笑い方と同じように不気味さをたずさえていた。
「ククク…やっと帰ってきた……楽しかったなぁ………みんな元気かなぁ…………フフッ……フフフ……アハハハハハハハ!!!」
ついには大声をあげて笑い出してしまった。
さすがに道行く人々もこれには驚きを隠せなかった。
しばらく笑った後、男はまた歩きだした。
雨の音が鳴り響く―
まるで―
"警鐘"のように激しく音をたてながら
数分後、男は警察官に職務質問の上任意同行となった。
最初のコメントを投稿しよう!