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玲奈は一旦深呼吸をしてから口を開いた。
『皆さん、おはようございます』
「「「「おはようございます♪」」」」
みんなが元気よく挨拶を返す。
『今日は私のために時間を割いていただきありがとうございます。今日は皆さんに大切な事をお伝えするためにこのような場を設けていただきました。』
体育館いっぱいにざわめきが広がる。玲奈の「大切な事」という言葉に様々な憶測が飛び交っているようだ。
「俺と恋仲になった話だな」と冗談で言った奴が八つ裂きになった。カズの事です、本当にありがとうございました。
しかし玲奈が「お静かにお願いします」と言うとさっきの千夏さんの時よりも早く静かになる。
『…では続けます。本当ならこの事は夏休みの前に皆さんに伝えなければなりませんでした。ですが私自身の身の回りの事等でそれができませんでした。まず、その事をお詫びします。
それでは本題に入らせてもらいます。
私には大切な人がいます。それは私を幸せにしてくれて、そして私の全てを満たしてくれます。
でも私はその大切な人を自分が原因で失いかけました。私はまだ十数年しか生きていませんがあの時ほど辛かった事は今までありませんでしたし、この先も無いと思います。
でも…失わずにすみました。
しかもその人は私を許してくれました。私のせいで命を失いかけたのに…その人は私を微笑みながら許してくれました。』
そこで玲奈は一旦話を切った。
周りからは「いいお父さんを持ったな」とか「家族愛ってすばらしいね」とか「玲奈タン萌え」とか聞こえる。自重しろ最後の奴。
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