第3章~6月9日はパチュリーの日…だと…?~

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奇妙な三人に引っ張られ連れて行かれたのは学校の近所の商店街だった。 昨今の不況の煽りをことごとく跳ね返し地元住民の絶大な支持を得ているこの商店街のアーケードは学校帰りの学生や、夕飯の食材を買いに来た主婦たちで活気づいている。 商店街の中程にはこじんまりとしたゲームセンターがあり若者達の憩いの場となっていた。 僕も中学生のとき琴や部活の仲間と一緒に来たものだ。 アーケードの入口に着いた僕ら三人と青ツナギの変態は一路ゲーセンへと向かう。 まあ、ヴィも変態といえば変態だが外見的には普通だから外しておこう。 先導するヴィはゲーセンが余程楽しみなのか若干大股で歩を進めていた。 僕と琴と阿部はその後ろでゆっくりと歩を進める。 「ねぇねぇ傷太、傷太と一緒にゲーセンに行くのって中学の秋以来久しぶりじゃない?楽しみだよ~楽しみだよ~」 琴は興奮を抑えきれない様子で僕の顔を覗き込むと、ギラッギラした瞳で僕を見つめる。 秋以来…?もうそんなにたったのか…。 僕にとってつい昨日のように感じられるが、琴はまったく違うようで、高校の同窓会で旧友に会ったかの様な表情をしていた。 「はあ…もうそんなにたったんですねぇ。僕は昨日だったようにも感じますけどねぇ」 「えー?傷太その発言老けてるよ~。そんなだとすぐにおじいちゃんになっちゃうよ?わしは岡本傷太じゃ~って。ふふふっ」
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