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「う~ん、う~ん…」
「お~い起きてよ~。ねぇってば!」
どうやら変な夢のせいでうなされていたようだ。その後赤の弟の緑はどうなったのだろう。寝ぼけた頭でそう思う。
「ねぇ、起きなよ傷太~」
兄弟でも今回は溝が深そうだ。
命懸けの冒険ならば仕方ないだろうな。
「傷太!起なって!遅刻しちゃうよ!」
あのままじゃ緑とクッパが成り代わる可能性も否めない。
しかしさっきから聞こえる声はなんなんだろう。聞き覚えはあるが。
「もうっ!起きてるくせにっ!無視するなんて…ふぇえええええん」
僕は仕方なく重く体を起こす。
「なんで朝から泣くんですか、琴(コトミ)」
「だってぇ、傷太って幼稚園の時からいっつも無視するじゃない!…うええええん」
僕は半目を完全に開くと、ため息をついてベットの横で泣いている幼なじみへと目をやる。
今だに泣いている彼女は黒く腰まである髪を座っているため床にちらばし、僕の部屋にあったクッションを抱きしめて涙と鼻水だらけにしている。
やめてくれ、洗うのは僕だぞ。
今の琴の顔は泣き顔かつ鼻水まみれで目も当てられないが、いつもの彼女は中学で人気No.1の美人だったほどの可愛いさと美しさの持ち主だ。
まあ、幼稚園から一緒なせいか"女の子"としては見れないが。
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