第3章~6月9日はパチュリーの日…だと…?~

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「…っ……朝…です…よ」 頭のなかに怠惰感と疲労感のベールが纏わり付いているようだ。 なにかが頭の中に干渉しているけども瞬間、意識の隅にその声は追い込まれる。 「あ…さ…です…よ」 鑼が響くような、耳触りな声は僕の意識の隅へ追いやる力に負けずに押し返していた。 つかの間僕はその声をどうにか押し出そうと頑張っていたが、ふと思い出す。 あさですよ? ああ、朝か。 睡眠時の真っ暗な空間の中でようやく僕は誰かに起こされていることに気づき、侵入してくる声を受け入れることに決めた。 だが寝起き一番の声にはなかなか反応出来ないのが中高生の性なのだ。 もちろん僕は出来立てホヤホヤの高校一年生。 ちゃっかりその性が心身に大きく、そして細かく根を張っていたからもう一度起こされるまで起きないことにした。 「朝ですよーwww早く朝飯、食wべwなwいwかw?ウホッwww」 「ん…おはようございます」 僕はそう呟くように挨拶をして重い瞼を広げた。 しかし何故か今日一番に視界を占領したのはなまめかしい双脚とその付け根にある白い布だった。 因みに本日は<やらないか?>だ。 ある意味勝負パンツだな。 「はあ…ヴィ、あなたは朝から…まったく」 目線を上へとやると焼きたてパンの粕が降り注いできた。 ヴィは目玉焼きを乗っけた焼きたてのトーストを美味しそうに頬張りながら楽しそうな表情で僕に馬乗りになっていたのだ。
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