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「お嬢さん、俺のことを知ってるのか?ん?」
屈んでいた彼はゆっくりと立ち上がり胸まで下げていたチャックを何故か上げた。
ヴィはというと、目を尋常じゃなくキラキラさせて彼を見ている。まるでNBAの試合を始めてみたスラムの黒人少年のような目だな、と僕は思った。
「そりゃwwwロンのもちですぅwwwwww阿部さんじゃあないっすかwwwwwwwwwうはwwwヤバスwww」
彼はそんなヴィの言葉を聞いて手を腰に当てた。
「お?なんで名前当たってるんだ?よし、自己紹介しておこうじゃないの」
彼は道路脇にあった木製のベンチにどかっと腰を降ろして足を広げ、両手を背もたれに置いた。
何故か彼のその格好はしっくりしている。本当に何故だろうか。
僕は立ち上がると両手を胸の前で貝の手繋ぎをしているヴィの横へ移動する。
すると彼は僕に熱い視線を向けると再びチャックを下げてそこに右手を入れた。
なにをしたいんだろうか。
「俺の名前は阿部和雄、16歳。ちなみに男が大好物だ。とりあえずやらないか?あの公園のトイレへ行こう」
ああ、そっちのお方か。
僕はヴィのおかげで"こんな"ことについての耐性がなんと一日で出来てしまっていた。
だから目を逸らすことによって、頭の中でさっきの言葉は無かったことに出来た。
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