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ベルナはそのまま動く事が出来なかった。
唇は何故か震え、声が出せない。
目頭は勝手に熱くなる。
銀色の虎──ルヴィの後ろからフィリアとルース、そしてリスタがラウド達の元にやって来た。
「どうだった?」
フィリアのただその一言の質問も、ラウドにとっては単純明解過ぎる。
「当たりだったよ。正真正銘、四つ目の鍵だ」
ラウドは懐から金色の鍵を取り出し、彼女に見せた。
それを自分の目で確かめたフィリアは肩から力を抜く。
ルースやアイル、リスタは遠目に"虎"と"獅子"の再会を見守っていた。
ようやく動いたのはルヴィ。
一歩、また一歩とベルナに近づく。
「…ベルナ。今まで、本当にすまなかった。ずっと、ずっとオレを守ってくれていたんだな。…オレは大馬鹿者だ」
震えるルヴィの声はますますベルナの中の何かを掻き乱した。
残り一歩の距離でルヴィは立ち止まる。
手を伸ばせば、直ぐにでも触れられる距離。
お互いの濃いブラウンの瞳は濡れていた。
言いたい事が多過ぎる。
その所為で言葉が出ない。
ベルナは口を開いては固く閉じ、必死に歯を食い縛った。
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