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屋内とテラスに設置されているテーブルには空きなどない。
ラウドはそっぽを向きながら頬杖をつく。
手元には氷が溶けて薄くなったココナッツミルクの入ったガラスのコップが、水滴をテーブルに滴らせていた。
フィリアは息をついて、冷たい紅茶の入ったカップを口に運ぶ。
「まっひゃひゅ、ひょひょりょにょしぇみゃいひゃふめ」
きっと、「全く、心の狭い奴め」と言いたかったのだろう。
ルースはテーブルの下で足をだらんと伸ばして座り、器用に両手で干し肉を掴んで満足そうに頬張っていた。
ラウドは気に食わなそうに歯ぎしりする。
周りはガヤガヤとうるさいのにもかかわらず、その歯ぎしりによる奇妙なギリギリとした音ははっきりとフィリアに届いていた。
思わず呆れ過ぎて冷や汗がでる。
「元を正せば自分が起こした種でしょ?」
「…分かってるよ。分かってるけど…あの女、史上最大にムカつくんだよ!なーにが"責任とれ"だ!」
だんだんと声量は増し、ひそかに周りの注目を集めた。
フィリアは「あちゃー」と、頭を押さえる。
事は数十分前の出来事だった。
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