14232人が本棚に入れています
本棚に追加
/628ページ
宿に来てから、フィリアはメモ帳のような物になにやら書き込みをし、すぐに納得するとその場でそのページを燃やして灰にした。
ラウドはその様子を不服そうに仏頂面で椅子に腰掛けながら眺めている。
ルースはまだ召喚していない。
「…何やってんだ?」
不機嫌そうなラウドの声にフィリアは「ん?」と顔を向ける。
「教官とのやり取りの確認だよ。頭の中での整理だけだと色々間違えてそうだったからさ」
DSにメモ帳をしまうと、フィリアは端に逆さに置いてあった数個のカップのうちから二つを表にし、コーヒーと思われる粉が入った筒の蓋を開ける。
ラウドはあからさまにムスッとしながらフィリアの行動を目で追った。
「で?明日の予定は?」
「午後五時に図書館の第六執務室、そこで教官と落ち合う事になってる」
フィリアは身体だけをラウドに向け、視線と筒を持った手はカップに向ける。
サラサラとカップに吸い込まれる焦げ茶色の粉。
ラウドはそれをジッと眺めた。
「…あの会話でどうやったらそんな交渉ができんだよ」
「それはさすがに秘密」
「はっ、言うと思った」
.
最初のコメントを投稿しよう!