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この町に着いたのは一時間ほど近く前。
「むー、邪魔くさいぞ」
「…相変わらず無駄に人が多い町だよね」
列車でここまで来たのだが、駅に降りた途端に見渡す限り人、人、人。
思わずラウドの肩にしがみ付くルースと、隣を歩くフィリアは小言を言ってしまった。
ラウドはふと眉をひそめる。
「お前ここ何度も来てんの?」
「ん、何回かね。任務と言うより、一種のお使いみたいなものかな。この町、少し他とは違って閉鎖的だから」
フィリアは周りの人込みを横目で見ながら返答。
ますますラウドは眉を寄せた。
「緑の海に浮かぶ島、って事か」
すると、肩にしがみ付いているルースは怪訝そうに「うぬ?」と声をあげた。
「何だ?そのなんとかなんとかの島とは」
「たとえ言葉だ。列車ん中でフィリアが言ってただろ?」
何を今さらとでも言うようなラウドだが、隣でフィリアは苦笑。
「ラウド、ルースさん着くまでずっと寝てたから」
「あ」っと思い出してラウドはため息をついた。
ルースは不機嫌そうに唸り声をあげる。
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