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敢えて名前を伏せたのは彼女なりの考え。
下手に名を教え、仮に今後ルヴィが裏の賞金稼ぎにでもなったら堪ったもんではない。
どうせ──賞金首にされているのだろうから。
しかし、ベルナは既に知っているのだから余り意味はないだろうが。
フィリアは隣で目を点にして固まっているルヴィなど気にせず、おもむろに前髪を掻き上げる。
すると、ようやく地面が止まった。
不意に周りに目を向ければ、そこは妙に荒れており、壁や物が破壊されていた。
従業員や選手と思し気人々はグッタリと倒れている。
恐らく、原因はフィリアの魔法だろう。
空間魔法を壊す為に放った魔法は、そこら中を襲っていたのだ。
二人がその様子をゆっくりと見渡していると、、
「ルヴィ殿ッ!ルヴィ殿ぉお!」
何処からともなく小さな影が現れ、そのまま闘技場を降りてきたルヴィに抱き付いた。
ルヴィは一瞬目を開いたが、直ぐにやわらかく笑う。
「リスタ、お前だったのか」
「ルヴィ殿!終わった!終わったであります!もう苦しまなくていいんであります!」
リスタはルヴィの腹に顔を押しあて、泣き喚いた。
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