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ルヴィはリスタからフィリアへと直ぐ様視線を移動させた。
それに気付いたフィリアは小さく肯定的に頷く。
「彼が隣町の指令部まで報告に行ってくれたんです。恐らく、上には既に軍が押し寄せて来ているでしょう。早く逃げないと、直ぐに牢屋行きですよ。それで構わないなら良いんですが」
彼とは赤い猫──ルースの事。
上を見上げながらも素っ気ないフィリアの態度に、一瞬ルヴィは迷ってしまった。
自分は裏の人間。
捕まるべき人間。
しかし、そうなれば自由ではなくなる。
どうする──。
そんな念がモヤモヤと胸の奥で渦を巻く。
すると、不意にクイッと服を引っ張られた。
下を見下ろせば、不安そうなリスタの顔が目に飛び込む。
顔に布は巻かれてはおらず、ただフードをかぶっているような状態だった。
リスタは何も言わず、ただただ泣きそうな表情。
すると、横からフィリアが刺すような一言が。
「取り敢えず、迷うならベルナさんに会ってから迷ってくれませんか?その後はフォースに捕まろうが逃げようが、お好きにどうぞ」
彼女はそのまま背を向け、ルースはその肩に飛び乗った。
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