14232人が本棚に入れています
本棚に追加
ルヴィは未だに迷っている様子だが、仕方なさそうに足を動かした。
その隣を不安気な表情で歩くリスタ。
フィリア達は、そのまま賭博場から姿を消した──。
観客席の方ではフォースが既に取り締まりを行っている。
「暴れるなッ!!拘束しろ!」
「一人たりとも逃がすな!」
「放せぇッ!!違うッ!!僕は無関係だ!!コイツが…!」
「なっ!お前から誘ってきたんじゃないかッ!!」
「黙れ!!全員縄を掛けろ!いいな!?貴族だろうが関係無しだ!!」
泣き叫びや怒鳴り声、時には殴る音も響く。
中にはやはりフォースの人間も混ざっていた。
そうなれば、重罪は免れないだろう。
だんだんと垣間見えてくる軍内の不穏さ。
誰もが正義と信じるフォースこそが、一番の泥沼状態だという事を一体どのくらいの人々が知っているだろうか。
存外、多くの者が知っているのかもしれない。
†
だんだんと迫るぼんやりとした光。
今はただ走るだけのベルナ達。
ただただ、その先に見える世界に焦がれて走る。
それだけ──。
ダンッという強い足音を最後に、不快な闇は消えた。
.
最初のコメントを投稿しよう!