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「ハッ、やっと出口、かよ。ハァハァ、息もきれるぜ」
アイルは膝に手をつき、息をきらす。
その隣でも同じように息をきらし、腰に手をあてて顔を上に上げているラウド。
「…なっげぇ、抜け道だな」
ベルナは何故か無言。
しかし、ちゃんと息をきらし、おまけに汗も滴っている。
長い秘密の抜け穴から出てきたベルナを含めたラウド達三人は、息を整えると一度深く息を吸った。
周りは木々だらけ。
恐らく、町に隣接する小さな森の中だろう。
木々の頭の間から見えたのは、まだまだ暗い夜の空。
星々の光がいやに目にしみる。
ベルナはジッと空を見上げたまま暫らく動かなかった。
その時、、カサリと葉を擦る音が耳を掠めた。
反射的に勢いよく振り向いたベルナ達。
警戒心まる出しの彼女だったが、直ぐに目を見開いた。
夜の森の中から現れたのは、一匹の銀色の虎。
闇の中でも、僅かな光で煌めく銀色の髪は、ベルナの大好きな色。
「…ベルナ」
低い声は見た目とは裏腹に優しいもの。
ラウドとアイルは一瞬眉をひそめたが、虎の後ろにいる人物達を見て安堵の息をついた。
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