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──泣かない
泣いちゃいけない
笑うって
笑うって決めたじゃない
ルヴィに会ったら笑うって…
心に決めていた事がどうしても実行出来ないベルナ。
笑いたい。
けれど、今は泣きたかった。
何故だろう。
嬉しいのに、泣きたい。
必死にその感情を抑えていたベルナの頬に、ルヴィはそっと両手を添えた。
骨張った大きな手は、何となく震えていて…。
「…なぁ、泣いてくれ。泣いて構わないから。オレはお前に泣いて欲しい」
眉をハの字にひそめ、虎の目には薄らと綺麗な涙が浮かぶ。
「──オレ達はもう自由なんだ」
刹那、ベルナは勢いよくルヴィに抱き付いた。
ルヴィもまた、きつく抱き締める。
「ッ…ルヴィ…!あたしッ…あたし…!」
放さない。
放したくない。
こもったベルナの泣き声に誘われて、ルヴィの瞳から涙が零れた。
虎と獅子の咆哮は、夜空に舞い上がる。
ラウド達はそっと目を閉じた。
彼らの邪魔をするなんて、野暮だろう──?
リスタはパサリと頭から布を下ろした。
その円(つぶ)らな瞳からも
涙が流れた────。
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