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ベルナは自分を指差し、きょとんとした表情で確認するが、綺麗な笑みを返されたら肯定と取るしかない。
別に嫌な訳ではないが、あのフィリアからこのような内容の頼まれ事をされると、どうもしっくりこないのが本音。
とは言うものの、拒否の意志は微塵も無かったベルナはそのままフィリアに連れられ、宿を後にした。
「…行っちゃったであります」
ポーンと言葉を投げたのは大きなリス、リスタ。
今は布を巻いておらず、ラウドの隣の椅子に座っている。
ラウドは息をつき、肩から力を抜いた。
(…どうせ、息抜きでもさせようとしてんだろうな。アイツも変わったもんだよ)
内心でフィリアの意志を推測し、少しばかり感心するラウド。
すると、不意にアイルが「あのよー」と声をあげた。
一体誰に向けた言葉なのか分からなかったが、二の句でそれは鮮明に。
「オメェさん方はこれからどうすんの?国に帰るのか?アンタもティーダ国出身なんだろ?」
それは正しくルヴィとリスタに向けられた質問。
リスタは小さく「うーん」と唸り、一方ルヴィは目を伏せて何やら考えていた。
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