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「…そうでありました。ラウド殿達には言っておりませんでしたね」
「あ?何が?」
突然の隣からの暗い声にラウドはやや眉をひそめた。
すると、リスタは顔をしかめながら口を開く。
口からはみ出る前歯が動いた。
「姐御もルヴィ殿もファミリーネームを捨てました。けど、我が輩にはれっきとした名前が付けられているであります」
"れっきとした名前"──?
それはリスタという呼び名ではなくて、、
スクワーラル
「我が輩は"混獣生命体"実験成功体ナンバーゼロワンであります」
一度聞いただけではよく分からないような、妙に耳障りな単語の羅列。
「スク…は?」
アイルは眉をひそめ、思わずタバコを口から出した。
「ふん。随分と洒落た名前ではないか」
ルースだけはふざけ調子に流すが、流石のラウドも不機嫌そうな雰囲気を醸し出す。
しかし、一番不機嫌そうなのは壁に寄りかかっている男だった。
「おい、リスタ…」
「いいんであります」
何やら文句を言いた気だったそんなルヴィを、リスタは直ぐに言葉を挟んで黙らせる。
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