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「ルヴィ殿や姐御が人間だったら、我が輩は混獣生命体・スクワーラルなのであります。スクワーラルのリスタであります。それだけは分かっていて欲しいのです」
リスタには強い想いがあった。
自分はナンバーゼロワン。
ならば、他にも仲間がいるかもしれない。
たとえ生き残りがいなくとも、自分だけがスクワーラルという"生物名"を放棄しては裏切りだ。
自分は人間と動物から生まれた生き物。
実験前の記憶などない。
ならば、スクワーラルのリスタとして再出発しよう。
そう決意したのは二人の人間が強く目を見せてくれたあの時。
『リスタ、あたし達は名前を捨てるよ。これからはベルナ=ビーグレイスじゃない。ただのベルナよ』
『オレもルヴィルト=ケイジックの名を捨てる。これからはルヴィだ』
二人があまりにも眩しくて
我が輩も強く生きたいと思った
自分が何者かぐらいは目を逸らさず生きたい
まだ布は人前では取れないけど
我が輩はれっきとした生き物であります
「それだけは分かっていて欲しいのです」という言葉を最後に、リスタは話すのを止めた。
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