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「…なーんでこんな事になってるのかしら?」
怪訝を通り越し、もはや呆れ口調のハスキー気味の声が静かに口から漏れた。
フィリアとベルナの女性二人組。
彼女らは何故か若者向けの仕立て屋に来ていた。
勿論、ベルナは連れて来られただけ。
おまけに今は情けなく両手を横に上げ、ジッとしている状態だった。
ベルナはもう一度、、
「…なーんであたしがこんな事してんだか」
と、誰に聞かせる訳でもなく呟いた。
すると、真っ先にその言葉に反応した者が。
「お気に召しませんか?」
「やはりこちらの方が…」
そう声を掛けてきたのは仕立て屋の店員の女性二人。
「や、そういう訳じゃなくてねぇ。ただ、こう綺麗な服ってのはやっぱあたしには似合わないなーって…」
「滅相もございません!こんなにも綺麗な髪や引き締まったお身体!大変美しい!」
「わたくし達がしっかりと仕立てますのでご安心を!」
そう──只今ベルナは仕立て屋にて、何故か服を仕立ててもらっていた。
しかし、どうもこう人に身の回りを世話されるのは馴れない。
その為、ため息が出た。
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