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見た目年齢としてはアイルと同じくらいか、一、二歳ほど上。
女は腰に手を当て、男を睨んでいる。
すると、、
「威勢のいい女朗だぜ。いいから俺の言う事聞けよ」
男は不意にその子供を羽交い締めにしている腕に力を入れた。
子供は苦しそうに息を詰まらせ、男の腕を必死に手で剥がそうとするが、全く適わない。
「うぐっ…あ、姐御…我が輩の事など…!いい、いざとなったら…!」
泣きそうな、苦しそうな子供の声。
だが、子供にしてはほんの少し回り過ぎる思考と癖のある喋り方。
「リスタ!戯れ言はやめな…!怒るわよ…!」
女は調えられた眉を思い切りひそめ、ややハスキー気味の声で羽交い締めにされている子供を叱る。
アイルはその様子を眺めながら、その悪い目付きを余計に悪くさせた。
「…旦那」
「む?」
不意に声を掛けられ、ルースは顔を上げる。
しかし、アイルの視線は下のフロアに向いたまま。
「──…あの布で身体隠したガキ…変だと思わねぇ?」
どういう意味で"変"と言っているのかは不明だが、少なくともルースは"あれ"に不審感を覚えていたのは事実であった。
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