8人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃああああ!!」
「人殺しぃ!」
生徒が叫ぶ。先生はただ青ざめるしかなかった。
微動だにしなくなった星羅の体を見て、はん、と馬鹿にするように言った。
「こんなやつに、俺は人生めちゃくちゃにされたのか──最悪」
そして隼人はそのまま生徒に向き直る。即座に隼人から距離を取った生徒たち。
「うん、見せしめに何人か犠牲になろうか♪」
その言葉に逃げ惑う生徒たち。その光景を満足気に見る隼人。
その背後から。
殺気が流れ込んできた。
「──…やっとお出ましか。待ち侘びたよ」
再び星羅の方に向き直ると、そこには──
銀の長い髪をした、虎を思わせる銀の目付きをした人間が、立っていた。
「ふふ──やっと君とやりあえる。さあ、やろう!そして──」
『黙れや』
その、低い声に思わず後ろに下がる。
「な、──(こいつ、そういやこんなカッコしてたか!?こんな殺気も出せない筈だし、それにそれに──)」
怖い
恐い
強い
「(冗談じゃねえよ、中学時代はこんな殺気なかったぜ!?それこそ遊び半分で、遊び半分みたいな──)」
『ごちゃごちゃ考えてんじゃねーよ、負け犬』
鋭い銀の目が、隼人を見据える。それはギラギラと貪欲に輝いている。
『とりあえず、ヤろうや──最近怠けてんだよ、星羅が暴れねえせいでよぉ?
人助けをさせてやるんだ、感謝しろぉ!!』
そんな理不尽な発言と共に、一直線に向かってくる。
それをナイフで迎え撃とうとするが、遅かった。
腹に拳が入り、隼人は胃液を吐き出す。
「がっ!…かはっ」
『うわキッタねえ。汚れるだろうが』
本気で嫌そうな顔をして、隼人を押す。隼人はそのまま背後から倒れた。
『あーぁ、残念だぁな。
星羅だったら勝てたかもしんねえのに──いや、星羅でも駄目か』
そう目の前の人間は言う。かなり愉快そうに口元を吊り上げながら。
「あんた──星羅じゃねえな?」
『んー、まあそうかな?俺の名前は、星司。星を司るで星司な』
「星、司…?」
『ん。別に覚えてなくてもいいぜー。会わねえだろうし、てか会いたくねえ』
そう隼人にはき捨てると、体育館の外へ出ていった。
後に残ったのは、隼人と体育館の外に避難していた生徒たちだけだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!