体育時にこんにちは

6/12
前へ
/86ページ
次へ
「きゃああああ!!」 「人殺しぃ!」 生徒が叫ぶ。先生はただ青ざめるしかなかった。 微動だにしなくなった星羅の体を見て、はん、と馬鹿にするように言った。 「こんなやつに、俺は人生めちゃくちゃにされたのか──最悪」 そして隼人はそのまま生徒に向き直る。即座に隼人から距離を取った生徒たち。 「うん、見せしめに何人か犠牲になろうか♪」 その言葉に逃げ惑う生徒たち。その光景を満足気に見る隼人。 その背後から。 殺気が流れ込んできた。 「──…やっとお出ましか。待ち侘びたよ」 再び星羅の方に向き直ると、そこには── 銀の長い髪をした、虎を思わせる銀の目付きをした人間が、立っていた。 「ふふ──やっと君とやりあえる。さあ、やろう!そして──」 『黙れや』 その、低い声に思わず後ろに下がる。 「な、──(こいつ、そういやこんなカッコしてたか!?こんな殺気も出せない筈だし、それにそれに──)」 怖い 恐い 強い 「(冗談じゃねえよ、中学時代はこんな殺気なかったぜ!?それこそ遊び半分で、遊び半分みたいな──)」 『ごちゃごちゃ考えてんじゃねーよ、負け犬』 鋭い銀の目が、隼人を見据える。それはギラギラと貪欲に輝いている。 『とりあえず、ヤろうや──最近怠けてんだよ、星羅が暴れねえせいでよぉ? 人助けをさせてやるんだ、感謝しろぉ!!』 そんな理不尽な発言と共に、一直線に向かってくる。 それをナイフで迎え撃とうとするが、遅かった。 腹に拳が入り、隼人は胃液を吐き出す。 「がっ!…かはっ」 『うわキッタねえ。汚れるだろうが』 本気で嫌そうな顔をして、隼人を押す。隼人はそのまま背後から倒れた。 『あーぁ、残念だぁな。 星羅だったら勝てたかもしんねえのに──いや、星羅でも駄目か』 そう目の前の人間は言う。かなり愉快そうに口元を吊り上げながら。 「あんた──星羅じゃねえな?」 『んー、まあそうかな?俺の名前は、星司。星を司るで星司な』 「星、司…?」 『ん。別に覚えてなくてもいいぜー。会わねえだろうし、てか会いたくねえ』 そう隼人にはき捨てると、体育館の外へ出ていった。 後に残ったのは、隼人と体育館の外に避難していた生徒たちだけだった。 .
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加