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体育館まで来ると、隼人くんは段ボールを適当な位置に置いた。
「じゃ、お互い頑張ろう!」
最後にキラキラした笑顔を見せながら、男子の集団に姿を消した。
隼人くん──か。
彼の事も、実を言うとあまり覚えていない。
あんな目立つ性格と容姿を持ち合わせていたら、私でも覚えていそうなのだが。
『…ま、いっか』
そこで思考をシャットダウンし、自分もまた女子の集団に混ざっていく。
といっても、隼人くんのように温かく受け入れてくれないのが現状であり。
私は集団の中でも明らかに孤立していた。
『(いいよ、1人は慣れてる)』
墨華は中学時代、別クラスだったので、普通の移動教室ではいつも1人で行っていた。
だからなのか、1人を苦痛とは思わなくなり、むしろ大人数では暑苦しくて適わないと孤独を好むようになってしまっていた。
『(中学時代、か──
どういうのだったっけ?)』
思い出そうとするたびに、頭痛がする。それは、身体が拒否している証拠だった。
『(ま、いっか)』
チャイムが鳴り、先生が体育館へ入って来たので、ちょうど良かったと言わんばかりに思考を中断した。
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