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私は扉を開けて廊下に飛び出し、音楽部の部室から出て一息ついた。
あの人に言われた言葉に私はなぜかほっとしていた。
まだ……ここにも私の居場所がある……
そう自分に言い聞かせて私は階段を降りようとした。
「おい篠崎、ちょっと待てよ」
カツッ
短く響く金属音に私は恐怖していた。
それと同時に覚悟していたと心から思った。
振り向けば同じクラスの男子三人がバットを持って私の後ろに立っている。
「ん?……え?……」
わざと驚いたふうに声をあげてみる。
実際には私はこの後、殴られるのだろう……
「いくぜぇ!」
そう言って三人で私にバットを降り下ろした。
思った通り、私は結局こうなる……
ドスッ
……
抵抗などしない……するだけ無駄……私は……
……
いらない物だから……
身体が動かないのは仕方ない……
壁に寄り掛かって私は自分の周りを見た。
血で真っ赤……
階段は赤く染まり、所々で黒くなっている。
「耐えなくちゃ……」
自分に言い聞かせるように私は言葉を発する。
そして強引に身体を立たせる。
至る所で激痛が走る。
「……ハァ……ッ……」
立ち上がった時には痛みがわからなくなるくらいになってしまっていた。
私はゆっくりと歩き出してその場から立ち去った。
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