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翌日、俺はくだらない日常の繰り返しをする。
また遅刻しそうな時間に道路を走り抜けていた。
またも遅刻ともなれば常習犯として見られてしまう。
そんなことを恐れながら俺は学校へ急ぐ。
車の騒音が異様なリズムを奏でる都会で俺たちは暮らしている。
すっかりこの環境にも慣れたけど、未だにこの騒音が好きにはなれない。
そんなどうでもいいことを頭のなかで転がす。
俺は高校で一体何をしたいのだろう。
校門を駆け抜けた時だった。
またこの感覚……
つい最近と同じ出来事を俺は体験していた。
「ねぇ、篠崎?……」
校門に茫然と座り込んでいるのは、昨日の学ラン姿の少女だ。
俺の言葉に一瞬顔を向けただけで彼女はまた遠くを見るように視線を戻す。
……
あれ?包帯?!……
「その包帯、どうしたの?」
「え?……」
驚いた顔をしているのは、たぶん……心配されていることに驚いているからだと思う。
「階段……見なかったの?」
「え?」
階段?なんだそれ……
俺のはっきりしない反応に、彼女はなんだかがっかりしたようにため息をついた。
「そう……」
彼女はこの時何を思ったのだろう。
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