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「本日の朝食が欲しければ、その宿題を寄越しなさい。カークライト王子」
にっこりと黒い笑顔で、目の前の橙色の髪、緑色の目の男が僕、カークライトに言ってきた。
机に広げられた書類……という名のノートは、僕と彼が通う学院から出された宿題だ。
「冗談はよしてくれ。何故、君にこの血と涙と汗の結晶をタダで渡さないといけない? ナイトウォーリア」
僕も負けじと笑顔を作り、ナイトウォーリアという名の男に言い返した。
「ですから、『本日の朝食』と申したはずですよ、ライト様」
尚も黒い笑顔を浮かべて、ナイトウォーリアは両腕を組んで、言い放った。
「君に何の権利があって、僕の朝食を奪うと言うんだ」
僕も笑顔を固定させ、問い返す。
「権利ですか? それは貴方様のお命をお守りする役目を陛下から仰せつかっているのは私なのですから、貴方様のお命を握っているのは私と言っても過言では……」
「何でだよっ! というか、いつ、君が僕の命を守っていると言うんだ! 逆だろ、逆! 守ってるのは僕の方だろ、ナイト!」
ばんっと目の前の机を叩き、僕は立ち上がって声を上げた。
……何度目だろう、このやり取りは。
数えようと一瞬思ったが、多すぎるのでやめた。
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