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……しまった。ちゃんとした武器を用意しておくべきだった。
とりあえず、短剣を構え、僕はいつでも攻撃が出来るように様子を窺う。
その時だった。
「そこの不届き者。我が主、カークライト様に刃を向けるとは覚悟は出来ているかっ?!」
何だか役者のような言い回しで、ナイトウォーリアが現れた。
「ライト様、ご無事ですか?!」
「ああ、大丈夫だ」
僕が頷くと、ナイトウォーリアは安堵の表情を見せた。
「もう護衛が来たか。有無を言わさず捕まえれば良かった」
舌打ちをしながら、男達も剣を構えた。
「カークライト様に刃を向けた罪、その身で償え!」
そう言って、ナイトウォーリアは剣を鞘から抜き払い、僕を守るように前に立った。
睨み合う両者の間に風が吹く。
辺りはしばらくの間、静まり返り、風の音だけが響く。
その静寂を壊すかのように、ナイトウォーリアが一歩動いた。
その瞬間、空気が抜けるような音が聞こえた。
「……ナイト……」
音の正体に気付いた僕は、低い声で問い質すように名を呼ぶ。
「申し訳ございません、ライト様。私のマジメモードは三分が限界でした。てへっ」
舌をぺろりと出し、ナイトウォーリアは僕に謝った。
「……だったら、その身で償えとか彼らに言わずに立ち向かった方が早いだろう……」
再び頭痛がして、こめかみを押さえながら、僕は嘆息した。
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